健康保険①国民健康保険の保険料

健康保険制度と保険料の違い 個人事業主

健康保険制度とは?

国民健康保険(国保)と健康保険(健保)って何が違うの?

上記は健康保険について調べようと思った時に、まず最初に私が疑問に思ったことです。

私が健康保険制度について知っていたことは、日本では20歳以上の全国民が国民健康保険に加入する皆保険制度を採用している、就職すると会社の健康保険組合に加入して保険料は事業主が半分負担してくれる、年収に応じて保険料が徐々に上がっている、といった程度でかなり曖昧な知識でした。

これから個人事業主として開業するにあたり、改めて健康保険制度を把握しておこうと思いました。

国民健康保険と健康保険の違い

健康保険(健保)と国民健康保険(国保)の違いをわかりやすくまとめるとこのようになります。なお、75歳以上の方は「後期高齢者医療制度」に加入するため健保・国保からは外れるようです。

国民健康保険(国保)健康保険(健保)
保険者市町村国保、組合国保協会けんぽ、組合健保、共済組合
被保険者自営業、年金生活者(~74歳)
非正規雇用者、未就業者
会社員、公務員など
費用100%自己負担事業主と被保険者で折半
保険料被保険者単位世帯単位(扶養あり)
徴収者居住自治体所属する健康保険組合
納付方法自分で納付給与から天引き

私にとって重要なのは、未就業者(無職)でも健康保険料は原則納め続けなければならない、の部分です。私の場合、妻が正規雇用者ですので妻の被扶養者に入ることも可能でした。保険料負担を考えるならば、扶養してくれる家族がいれば扶養に入るのが最もお得になります。

ただし、妻の扶養に入るなら今年の収入を扶養の範囲内に抑える必要が出てきます。個人事業主と開業した後に活動を制限したくなかったので、私の場合は扶養に入る選択肢はありませんでした。そのため、収入が得られるまでは貯金を切り崩してでも納めないといけないのが辛い所です。

次に疑問に思ったのが、健康保険の種類によって保険料が変わってくるのか?ということです。

健康保険料の計算方法

続いては国民健康保険と健康保険の保険料の計算方法について、整理してみました。

まず健康保険の保険料は、標準報酬月額×保険料率で決定します。標準報酬月額は、4-6月の平均給与を元に決定されます。給与には各種手当も含みますので、この時期は「健康保険料が高くなるからなるべく残業はするな」と言われることが多いと思います。

計算月計算方法
賞与支給月以外の月標準報酬月額×保険料率=保険料
賞与支給月(給与分)標準報酬月額×保険料率=保険料
(賞与分)標準賞与額×保険料率=保険料

私が会社員時代に加入していたのは出版健康保険という名称の組合でした。出版健康保険組合によると、保険料の計算方法は下記のようになっていました。

出版健康保険組合の保険料率は、事業主が47.5、被保険者が42.5の負担率となっていました。なお、40歳以上になると健康保険料とは別に介護保険として1000分の18(事業主と被保険者で折半)が保険料に追加されます。(事業主と被保険者の負担率は、健康保険組合によって異なりますのでご注意ください)

仮に標準報酬月額が400,000円、賞与が800,000円(月収の2ヶ月分)の加入者のケースでは、給与支給月以外の保険料総額と内訳は下記のようになります。

健康保険料:400,000円×(90/1000)=36,000円

 うち事業主負担 :36,000円×(47.5/90)=19,000円

 うち被保険者負担:36,000円×(42.5/90)=17,000円

これに介護保険料3,600円が加わりますので、毎月の健康保険・介護保険料の合計は20,600円になります。

介護保険料:400,000円×(18/1000)=7,200円

 事業主・被保険者 :7,200円÷2=3,600円 事業主・被保険者で折半

国民健康保険料の計算方法

これが国民健康保険になると、計算方法が変わってきます。

まず、国民健康保険は保険料の充当先によって次のように分かれています。

保険料の区分
  1. 基礎(医療)分保険料:74歳以下の方の医療費に充てる分
  2. 支援金分保険料:後期高齢者医療制度の加入者の医療費に充てる分
  3. 介護分保険料:40歳から64歳の方が対象で、介護費に充てる分

保険料は「前年の1月~12月の所得」「加入者数」「年齢」をもとに計算され、所得額に応じて変動する「所得割額」と、所得の累進性と関係ない固定部分の保険料を合計した額が年間保険料となります。

私の居住地域の所得割額は下記のようになっていました。

区分対象所得割額均等割額最高限度額
1. 基礎分全加入者賦課基準額×7.16%加入者数×42,100円65万円
2.支援金分全加入者賦課基準額×2.28%加入者数×13,200円20万円
3.介護分40~64歳賦課基準額×2.44%加入者数×16,600円17万円
※所得割額のお住いの自治体のHPで最新の保険料率をご確認ください

健康保険の計算方法と比較すると複雑ですね。

まず、賦課基準額とは何?という疑問が生じます。健康保険の標準報酬月額は4-6月の平均でしたが、健康保険では年間ベースで算出した賦課基準額に変わります。賦課基準額は給与を含む総所得から基礎控除額を差し引いた額になります。

上記表の右側には最高限度額の記載がありますが、これは各区分の保険料が限度額を超える場合は、限度額を基準に保険料を算出し、それ以上負担が増えないことを表しています。最低限度額については厚生労働省から下記のような説明が出ています。

医療保険制度では、保険料負担は、負担能力に応じた公平なものとする必要があるが、受益との関連において、被保険者の納付意欲に与える影響や、円滑な運営を確保する観点から被保険者の保険料負担に一定の限度を設けている。

引用元; 国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について

1~2年に一度のペースで最高限度額が緩やかに引き上げられているのが、医療費負担の大きさ、財源悪化の実情を示していると思われます。

さて、健保の時と同じく毎月の給与が400,000円、賞与が月収2ヶ月分の800,000円だった場合、翌年の賦課基準額は下記の計算になります。

年間総所得:400,000×12+800,000×2=6,400,000円

賦課基準額:6,400,000(総所得)-430,000(基礎控除額)=5,970,000

基礎控除額は、年間の総所得が2400万円以下までは43万円となります。私を含め多くの方が43万円にあてはまると思います。賦課基準額と基礎工場額はどの地域に住んでいても一定です。

国保と健保の差額

ここから、私の居住地域で世帯の加入者が一人の場合、所得割額と均等割額は下記のようになります。

基礎分 :5,970,000×0.0716(所得割額)+1×42,100(均等割額)=469,552円

支援金分:5,970,000×0.0228(所得割額)+1×13,200(均等割額)=149,316円

介護分 :5,970,000×0.0244(所得割額)+1×16,600(均等割額)=162,268円

年間健康保険料:469,552+149,316+162,268=781,136円

月額換算して10円未満を切り捨てると毎月65,090円の保険料になります。

会社員時代だと自己負担が20,600円だったのに対して、国民健康保険に加入すると保険料が3倍以上に膨れ上がります。健康状態は良好で、年間の医療費は年に数回歯医者に行くだけなので、何とも言えない気持ちになります。さらに実際に納める金額はシミュレーションよりも多くなるので、無職中に保険料負担が重くなることは間違いないです。

保険料をシミュレーションをしたら予想以上に長文になってしまいました。保険料を何とか抑えられないかと考えて私が取った選択については、明日のブログでお伝えしたいと思います。

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