みなさん、こんにちは。
突然ですが、「ミッドライフクライシス」という言葉をご存じですか?
直訳すると「中年の危機」で、40歳以降も今の仕事を続けるべきか、今だからこそ新しい環境にチャレンジすべきか、答えが出ず葛藤する心理状態を指します。
私も40歳を超えてミッドライフクライシスに陥り、思い切って昨年末に会社を退職しました。今でもこの選択が正しかったのか答えは出ていませんが、一切後悔はしていません。
40代で転職するか悩んでいる方は、転職活動を始めてから「こんなはずではなかった」と思わないように、40代転職のリアルをご覧頂いてから決断してもらいたいと考えています。
前置きが長くなりましたが、本日は私が体験した40代転職の現実についてお伝えします。
スペックと希望条件
まず初めに私のスペックと転職の希望条件を簡単にまとめました。
私はありきたりな経歴で、転職における市場価値は「中の下」と自己評価していました。
学歴:大卒(文系)
職歴:調査会社⇒個人事業主
資格:特になし
語学力:英語 読み書き初級
勤務形態:正社員
業界:製造業・メーカー
職種:企画・マーケティング職
希望年収:前職と同程度を希望
希望条件
そんな私でも、希望条件に対してこれだけは譲れないという優先順位をつけていました。
雇用形態>>>業界>>年収>業種>職種
正社員待遇だけは必須条件にしていました。多様な働き方を否定するつもりはありませんが、契約社員や派遣社員では仕事の幅が狭いため、色々なことにチャレンジしたいという私の希望には合わなかったためです。
業界や職種に関しては、自分がやりたいことだけでなく、これまでの経験から評価されそうな点も重視しました。その結果、エレクトロニクス業界の企画・マーケティング職を第一志望としました。
年収に関しては、書類応募時は前職と同程度の範囲内で求人を探しました。未経験の職種に就く場合は、前職から10%ダウンまでは受け入れるつもりでいました。
このように転職時の条件は、譲れる部分と譲れない部分のメリハリをつけて幅広く条件設定をしていました。
データで見る40代転職の現実
続いて、応募先の進捗確認用に記録していたデータから、私の転職活動結果を見ていきます。以下の数字は、私が応募した会社と選考通過率です。
書類選考 | 一次面接 | 二次面接 | 最終面接 | |
---|---|---|---|---|
応募数 | 38 | 4 | 2 | 2 |
選考通過数 | 4 | 2 | 2 | 2 |
選考通過率 | 11% | 50% | 100% | 100% |
最終的に応募した会社数は38社になりました。6月中に33社送付、7/5に5社まとめて応募したのが最後だったので、ほぼ一ヶ月の応募総数になります。
応募したい候補企業はまだあったので、7月に面接に辿り着かなかったらさらに増えていたと思います。
書類選考通過率は、面談確約のスカウトを応募とみなせば11%、スカウトを除けば8%です。
表をご覧頂いてわかるのは、書類選考に落ちまくるという現実です。キャリアドバイザーから落ち込む暇もないぐらいお祈りメールが届き、転職活動後半には、落ちることに何の感情も湧かなくなりました。
これは40代で転職を目指す以上、多くの方が受けいれるしかない現実です。
業界・職種別
続いて業界・職種別にみてみます。
手当たり次第に応募したわけではありませんが、業界・職種は意外とばらけていました。
転職先をエレクトロニクス業界に絞り込んでいましたが、業種は製造業(メーカー)だけでなく、サービス系の会社や商社、化学・素材系のベンチャーまで幅広く応募しました。
職種に関しては、企画・マーケティング職よりも営業系の職種の応募が上回りました。企画系の求人のうち、事業企画や戦略立案の実務経験が必須要件になっていた求人に応募できなかったため、より間口の広い営業系の職種の応募が増えた形になりました。
そもそも企画・マーケティング職は営業職よりも求人の数が少なく、未経験可の求人はさらに限られるので、未経験からキャリアチェンジを希望される方はご注意ください。
応募方法別
続いては応募方法別の集計結果です。
応募方法は約90%がエージェント経由での応募になりました。
自主応募は2社だけでしたが、そのうちの1社が入社予定の会社になりました。正確には共通の知人を介して中途採用の意向を確認してもらい、非公開求人の中途採用選考に進ませてもらいました。
採用形態としてはリファラルに近い形式と思われますが、知人より紹介頂いた事業部長は私のことを知らなかったので、通常選考と同様に書類選考⇒適性検査⇒3回の面接を受けました。
転職エージェント経由では書類選考で落とされていた可能性が高く、事業部の方に直接職務経歴書を見てもらったのが幸いしたと思います。
自主応募の場合、企業の人事担当者と書類送付や面接日程の調整などをメールでやり取りします。入社予定の会社から内定を頂くまでにメールが10往復前後していました。
メールを1通送るだけでも、選考に影響するのではないかと慎重に文章を考えていました。これも余計なストレスを抱える原因になるので、転職エージェントは積極的に活用すべきだと考えます。
また、在職中の方は時間が限られるので、なおさら転職エージェントの活用は必須になると思います。
面接突破率
先ほどの表で選考通過率を見ると、二次面接以降の通過率が100%だったのをご覧になられたと思います。
一次面接から先に進めなかった2社も、スカウト経由によるミスマッチと、一次面接後に辞退(入社予定の企業から内定をもらったためでおそらく不合格)によるものです。
したがって、入社する意思を持って挑んだ面接は「書類選考さえ通れば何とかなる」ということがみえてきました。
私自身は新卒時の就職活動の時から面接で上手く話せたことがなく、ずっと苦手な気持ちを持ち続けていました。今回の転職でも一番最初の面接はそのトラウマを引きずっていましたが、面接に慣れてからは毎回及第点は与えられる出来になりました。
前職で緊張感のあるプレゼンや役員向け報告会などの修羅場をくぐり抜けたおかげかもしれません。食わず嫌いのように、この歳になるとずっと苦手だと思っていたことがいつの間にか克服できている、ということがあります。
40代転職の体験談
続いて、転40代の転職希望者が疑問に思っているであろう点に対して私が答えていきます。
40代になると求人は少なくなるのか?
もちろん20代、30代と比較すれば応募できる求人は少ないはずですが、転職サイトには毎日のように希望条件に合致した新着求人が届き、転職エージェントからは担当オススメ企業が送られてきます。
応募したいけれども求人が見つからない
と思ったことは活動中に一度もありませんでした。
むしろ、転職活動を通じて最も強く感じたのが、「企業の人材不足」です。
募集要項に記載されている募集背景にも
「業績回復による増員」
「グループ拡大による人員拡充」
という文言をよく見かけました。
特にIT業界の人材不足感が非常に強いように感じました。ビズリーチなどのスカウトサイトからは私の大したことのない個人事業主の経歴を見て、何度もIT業界に強いヘッドハンターからメッセージが届きました。(特に○ークポート)
したがって、2023年の時点では営業職や企画職を中心に求人を探す場合、条件を絞り込まなければ求人が少ないと感じることはまずないはずです。なお、経理や開発職などいわゆる専門職の場合は話が変わってくると思いますのでご注意ください。
年齢の壁はある?
いわゆる年齢の壁については、書類選考時に壁(年齢フィルター)はあったと思っています。
実際に転職エージェント経由の応募でこのような経験をしました。
募集要項に年齢制限の記載がなく、条件をほぼ満たしている求人に応募したところ、朝一に書類を送って当日午後に不採用の返事がありました。
これは企業の採用担当者が私の書類を見て判断したのではなく、転職エージェントの企業担当が履歴書の年齢を見てフィルタリングをかけていた可能性が高いと思っています。
このように募集要項に年齢制限の記載がなくても、転職エージェントだけに開示されている裏情報(裏スペック)によって落とされることがあると思っています。
ただし、書類選考さえ突破できれば採用側が年齢を気にする素振りは全く感じませんでした。ただし、書類選考を突破する=スキルや経験が募集要項に合致していることが条件になると思います。
マネジメント経験は必要か?
40代前後までにプロジェクトリーダーを務めた経験や部下を管理する機会が増えてきます。次の転職でもマネージャーや管理職としてチームをリードしたいと考える方が多いと思います。
転職時のマネジメント経験の有無については、キャリアアドバイザーからの受け売りになりますが、
「管理職採用なら、求人企業の業務に直結するマネジメント経験が必要」
と教わりました。
ただし、一言でマネジメント経験といっても、プロジェクトの進捗管理を行うプロマネなのか、チームマネジメントなのか職種によって求められる資質が異なります。
実際の求人においても営業系の職種では、
「○○名以上の管理経験」
エンジニア系の職種では
「プロジェクトマネジメントの実務経験○年以上」
といった形で具体的に記載している求人が多かったと記憶しています。
私も職務経歴書にはマネジメント経験があることを得意げに記載していました(笑
ただし、面接でマネジメント経験について聞かれたのは1社だけでした。
私自身の転職活動経験を踏まえると、マネジメント職を希望していなかった(転職してすぐに部下がつくことが想像できない)こともあるので、管理職採用以外ではマネジメント経験は必須ではないと感じました。
40代で大企業に入るのは難しい?
私が入社予定の企業は、会社規模で言えば大企業に属します。現職は個人事業主で、過去にも大企業に勤めた経験がありません。私だけでなく、前職の元同僚も40代で国内の大手企業に転職していた方がいました。
終身雇用制の崩壊やジョブ型雇用の定着によって、大手企業でも専門的な経験やスキルを持つ人材をピンポイントで拡充したり、アンバランスな年齢ピラミッドを是正するために敢えて40代を採用することも増えてきています。
そのため、40代で中堅・中小企業から大企業に転職することも十分可能だと思っています。
ただし、大企業への転職を目指す場合に注意したい点が2つあります。
一つ目は多くの応募が集中するだけでなく、採用側も書類選考で絞り込むので競争倍率が半端なく高くなります。
私が玉砕した某総合電機メーカーの募集では、そのエージェント会社経由で50人以上の書類を送っても一人も選考を突破していないと、転職エージェントから教えてもらいました。
その後もずっと募集が続いていたところを見ると、選考条件がかなり厳しいと思われます。
また、大企業は選考期間も長くなる傾向にあります。大企業の方が面接の出席者の日程調整や、採用の意思決定や承認に時間が掛かることは容易に想像できます。そのせいだと思いますが、面接は月に一度のペースで進み、書類選考から内定まで二ヶ月~三か月ぐらいかかることもしばしばみられます。
それぐらいシビアな競争になるので、転職の第一条件が「大企業に転職したい!」というわけでなければ、企業規模で選ぶのは現実的ではないような気がします。
40代転職の理想と現実
40代で転職しようとされる方は、転職を通じて実現したい理想があるはずです。それは仕事のやりがいや、スキルアップであったり、ワークライフバランスの充実など、人によって様々だと思います。
私は2月の記事にある本音の退職理由から、気持ちの変化が生じました。
それは、「チームで仕事をしたい」ということです。
個人事業主の経験を経て、私自身の持ち味はチームで働くことでより活かされるように感じました。
転職活動に妥協は必要か?
結論として、40代の転職では妥協できる点を見つけておくことが必要です。私の場合は、自分がやりたいことを優先することで、(偉そうですが)待遇面に関してはある程度妥協しました。
私の転職結果を希望条件ごとに整理すると下記のようになります。
- 雇用形態:正社員(○)
- 業界:エレクトロニクス(○)
- 業種:製造業/メーカー(○)
- 職種:企画系(○)
- 年収:前職と同等~微減(△)
- その他:ワークライフバランス(△、残業時間増加、在宅勤務の制限など)
ありがたいことに年収や待遇面を除き、ほぼ希望条件に沿った形になりました。
年収に関しては、理論年収上では前職より微減の提示を頂きました。ただし、理論年収には部門内の平均残業時間を考慮した残業代が加味されていたので、実際にその額に届くか不透明です。
特にワークライフバランスを重視して不必要な残業を避ければ、年収が下がる可能性が高くなります。
とはいえ、営業部門と連携しながら進める業務のため一定の残業も必要になるはずなので、どちらを重視してもワークライフバランスを充実させることは難しそうです。
まとめ
転職は今の職業や職場で達成できないことを環境を変えて実現することだと思っています。したがって今の時点で私の転職が成功かどうかは判断ができません。
それでも次の勤務先で仕事の幅を広げたり、チームで連携して仕事を進めるなど、今までできなったことができるようになるので、転職結果には満足しています。
また、転職を通じてキャリアの振り返りを行うことで、今後の人生を考えるきっかけになったのは間違いなく、転職活動を行ったこと自体が非常にいい経験ができました。
40代の転職でもキャリアプランや転職の軸をしっかり持って活動すれば、いい結果に繋がると思います。無責任な言葉は言えませんが、臆することなくチャレンジして頂きミッドライフクライシスを乗り越えてほしいと思います。
最後までご覧頂きありがとうございました。
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